マインドフルネスとは
マインドフルネスとは、いまここで、
何をしているか、
気づいている状態です。
マインドフルに、
ありのままの身体を感じていくと、
身体で何が起こっているか
気づくことができます。
私たちは、ふだん、日常的には、
身体で何が起こっているかに
集中してもいないし、
気づいていません。
無意識の自動操縦モードで、
日常を過ごしています。
外部からの刺激を受けても、
無意識の自動操縦モードのまま、
刺激に反応して自動的な思考が
生み出されています。
これが「自動思考」です。
自動思考がネガティブな場合、
無意識、無自覚のまま、
ネガティブな反応が起こって、
ネガティブ思考が生まれます。
ネガティブな思考は、
意識的に回避できるものではないのです。
集中と気づき(心の状態)
集中しているかどうか
気づいているかどうか
集中していない | 集中している | |
気づいていない | 気づいていない ① | 集中していない気づいていない ② | 集中している
気づいている | 気づいている ④ | 集中していない気づいている ③ | 集中している
とくに意識せず習慣的に
日常生活を送っている状態が①で、
集中していないし、気づいてもいない。
少し意識して、集中をはじめた状態が②
マインドフルネスをはじめた時点。
マインドフルネスが深く入り、
集中して、気づいている状態が③。
マインドフルネスに慣れると、
集中することをせず、
あるがままで過ごしていても、
気づいている状態④に至ります。
あるがままに生きる、
いまを生きる状態である④でいること。
自分を愛する=自分に関心を向けること、
だと想定すれば、
③のマインドフルネスな状態を腑に落とし、
④の状態でいることで、
あるがまま自然体で、
自分を愛している状況になることができます。
マインドフルネスとは「今、ここ」の現実にリアルタイムかつ客観的に気付いていることです。すなわち自分が何をかんがえ何を感じているのかに気付くことです。自分自身の心の声に耳を傾けることがマインドフルネスなら、マインドフルネスとは自分自身を愛することです。
藤井英雄「マインドフルネスの教科書」
トラウマとマインドフルネス
マインドフルネスの瞑想を行う場合、
留意しておくことがあります。
表面上は忘れていても、
トラウマ的な出来事があると、
そのときの苦痛が浮上してしまう
可能性があるのです。(PTSD)
リラックスしようとした瞑想で、
逆にトラウマが刺激されて
過覚醒になってしまう。
マインドフルと瞑想は、覚醒状態の調節ができていない人にとって、大きな苦痛を伴う可能性があります。
「トラウマセンシティブ・マインドフルネス」
覚醒調節不全(dysregulated arousal)と呼ばれる自己調節能力が著しく損なわれた状態です。トラウマとなった出来事を思い出させるものに過度に敏感になると、過覚醒ないし低覚醒、あるいは両者の間を制御できずに揺れ動く状態に陥ります。それは危うく不安定な状態で、トラウマが強いる残忍な苦しみのひとつです。
「トラウマセンシティブ・マインドフルネス」
この書籍では、
マインドフルネスの瞑想で、
調節不全の過覚醒に陥らないように、
次の5つの原則を守ることが
示唆されています。
①耐性の窓にとどまる
②安定のために注意をシフトする
③身体を常に意識する
④関係性の中で実践する
⑤社会的文脈を意識する
安全なマインドフルネス瞑想(耐性の窓)
ブレーキを掛けることは、マインドフルネスが再トラウマ化のきっかけにならないように耐性の窓にとどまるための方法です。
「トラウマセンシティブ・マインドフルネス」
瞑想の誘導をしていたり、
ヒーリングをしているときに、
相手に眠る、未完了の手続き記憶(トラウマ)に
ふれてしまうことがあります。
そんなとき、
誘導する側、ヒーラー側のトラウマも
刺激されてしまい、
こちら側も耐性の窓から、はみ出してしまう。
相手の耐性の窓を知っておき、
それを逸脱していないかを、常に意識しておく。
次のようなことが、
耐性の窓を逸脱している可能性を示すと
書かれています。
・筋肉の極端な弛緩(虚脱状態、顕著な無表情)
「トラウマセンシティブ・マインドフルネス」
・筋肉の著しい硬直
・過呼吸
・誇大な驚愕反応
・過度の発汗
・顕著な解離
・顔面の顕著な蒼白
・感情の不安定(激怒。過剰な啼泣、恐怖)
会話や面接では、
・無秩序な発話、不明瞭は発話
・視界がかすむという訴え
・面接中や会話中に目を合わせない
・フラッシュバック、悪夢、侵入的思考の訴え
瞑想はどんな人にでも
リラックス効果があり、
瞑想はどんな場合でも安全だ。
・・・
そうではない場合がある。
トラウマを刺激することがある。
そういう知識があり、
ブレーキを掛ける方法を知っていれば、
正しく安全なマインドフルネス瞑想を
楽しむことができますね。
*
耐性の窓とは、
交感神経と副交感神経のバランスがとれ、
過覚醒と低覚醒の間に位置した、
最適な覚醒状態で、
ニュートラルな状態です。
安全なマインドフルネス瞑想を。
トラウマは感情を解放することで、
解決されるものではありません。
マインドフルネス瞑想で、
クライエントから感情が湧くようなとき、
その感情を深く掘り下げていくと、
耐性の窓を逸脱して、
安全を離れてしまうこともあります。
(自戒をこめて)
感情を浄化すること(カタルシス)は必ずしもトラウマの統合を意味しません。
「トラウマセンシティブ・マインドフルネス」
安全な瞑想を誘導するために、
耐性の窓について理解しておくことが大切ですね。